非日常のつぶやき by Hika

ツイッターの文字数制限に引っかかるような話・意見などを語るブログです。

過去のトンネルを抜ける時 (エッセイ)

僕は大体、7年ほど女性恐怖症を患っている。女性恐怖症を簡単に説明すると、女性と喋った時に冷や汗や赤面してしまったり、女性に対して不信感を抱いてしまうというものだ。この女性恐怖症には様々な原因があるが、自分は過去のトラウマが原因となっている。このエッセイは、自らの実体験を綴るとともに振り返るものである。

小学生の頃は女子が大好きで、色んな女子に恋していた。恋していたとは言っても一度も付き合うことはなく、ただただ片思いだけをしているという毎日だった。
しかし、小4あたりから太り始めた自分は女子から後ろ指を指されるようになった。「キモイ」「バリアする」などと、心無い言葉を浴び始めた。この頃は特に傷ついたという実感はないが、今このような言葉を浴びたら凹むに違いない。ある意味、小学生の自分が一番メンタルが強い時代だったといえる。それは恐らく、小学校の頃は女子から嫌われても、自分には他の物があるという逃げ道があったからなのだと思う。

そうして中学校に進学した自分だったが、女子から嫌われることは変わりなかった。ブスであり、デブであり、多汗という嫌われ要素を多くそろえていたからだ。しかしそれでも、自分は気にすることなく過ごしていた。しかし、中二になると更にエスカレートしてきた。女子に片思いをすることも続けていたが、これを気づかれてしまったら恐らく片思いしている相手にも後ろ指を指されるようになるだろうと思っていたので、これも黙っていた。

そして、1つ目の地獄を見ることになった。女子から嫌われていた自分は孤独だったが、違うクラスの女子がラインをしてきた。「話そー」という軽い感じで話しかけてきたので、自分もそれに反応して色んな話をした。女子と喋る機会が全くなかったため、その女子と色々な話をしたのだが、1週間ほどが経過したときに知らない男子からラインが来た。「お前、なんで彼氏いる女子口説いてるの?」と。……いやいや、なんだその情報?そんなこと一度も話してなかったし、学校にも友達が少なかったのでそんなことは全く知らなかった。そもそもお前は誰なん?と、様々なツッコミが頭によぎった。それをそのままにラインしたのだが、「とぼけんじゃねえよ!もうラインすんなよ!」と言われたのだ。このまま反論しても聞く耳は持ちそうにないので、ここはそれに応じてその女子と喋らないことにした。しかし次の日、自分が登校するといつも以上に引かれているように感じた。しかし、引かれているのはいつものことなので、気にすることなく授業の準備をしていた。すると、ある男子が「お前、彼氏持ち口説いたんだって?」と言ってきた。……は?アイツは何も確認することなく、自分を「略奪する奴」と吹き込んだということか?何も知らない相手に対して、こうして逃げ道を無くしていくようにしていったのを思い出すと、まさに痴漢冤罪のような手口を喰らったのだと痛感する。後から考えたが、どう考えてもラインしてきた女子と男子はグルで、自分を落とし込もうとしたとしか考えられない。これに関しては、自分の軽率さも原因だったと思う。そもそも自分は女子から嫌われているのだから、「こんなラインは来るはずない」と少しは疑えば良かったと今は思う。

そんな地獄から間もなく、次の地獄を味わうことになった。その発端は、ある女子の好きな人を聞いたことだ。それは本人から聞いていて、孤独だった自分はその事を誰に話すこともなく秘密にしていた。しかし、その女子が急にラインで「お前、好きな人言っただろ!」と言われた。何度も言うが、自分は孤独でそんな話をするような友達は誰一人いなかった。そう言っても例のごとく、「お前が言ったしか考えられないから!」「嘘つくな!」などとヒステリックにキレられた。再びの冤罪にうろたえていた自分は、やはり嘘をついているように思われたらしく、次の日に再び白い目で見られることになった。しかし、数日経つと今度はクスクスと笑われるようになった。「またあることないこと言われたか…」と思っていたら、「お前文化祭で告白するんだって?」と。この時、本当に男子より女子の方が恐怖だと思った。先ほど挙げた男子の吹き込みは、あくまでも自分の思い込みであったが、今回に関しては本当にその女子が勝手に言っているので余計にたちが悪い。しかも不運なことに、その女子に自分が片思いしている女子も伝えてしまったために、片思いしている女子まで巻き込んできたのだ。言ってきた人に言われたラインのタイムラインを確認すると、「(僕の本名)が、(片思いしている相手)に文化祭の発表が終わった後に告白するんだって!」と、完全に攻撃的な投稿をしていた。これによって、またしばらくクラスメートから白い目で見られるようになってしまった。ここでの原因の一つは、不要な情報を聞いてしまったことと自分の秘密を軽率に伝えてしまったことだろう。相手の秘密を聞いたところで、自分にとっては不要な情報なのだから、相手が「知りたい?」と聞いてきても断るべきだったと思う。また、相手が秘密を言ったからといって、自分が秘密を言わなければいけないというルールは全くないと考えるべきだった。そうすれば、キレられただけで済んだのかもしれないと考えている。

そして、それから1か月ほど経った後に、最後にして最大の地獄が襲い掛かる。今度はある女子からラインがきて、「実は(本名)のことが好きなの…」と言われた。しかし、流石に騙されたくないので「考えさせて。」と返したが、その人から何度もアプローチされたので、折れる形で「付き合おう」と返信した。しかし、これでもまだ軽率だった。その次の日、クラスであざ笑われていて、いつも以上にからかわれるようになった。そして、すぐにその女子から「別れよう」と言われた。この時、またハメられたのだとわかった。これもやはり、自分の警戒心が足りなかったのが原因だった。今まであんなことをされていたのにも関わらず、少ししか警戒していなかったからハメられたのだと思う。

そして、ハメられたということを理解した瞬間、自分の精神が「ボキッ」と折れる音が聞こえ、大黒柱を失った家のように崩れ落ちていった。その日の体育は剣道だったのだが、恐ろしいほどに力が入らず、何度も叩いた拍子に竹刀を離してしまった。その日の夜、初めて自殺を考えた。カッターナイフを手首に当てたが、今生きている以上に死ぬことが怖くなってしまい、人生で最も泣いた。泣き腫らした顔を親に心配され、自分は「学校に行きたくない」という思いを伝えた。それに対して、親は全てを察したように肯定してくれた。その翌日、初めて自分は「行きたくない」という理由で学校を休んだ。何とか1日で立ち直って再び学校に行ったが、やはり少し恐怖があった。オドオドしながら過ごし、誰とも話さずに過ごしていた。数日たって、自分はある名案を思い付いた。「女子が自分を嫌っているなら、自分も女子を嫌えばいいんだ」と考えた自分は、とにかく女子を嫌った。例を挙げるなら、「自分の席に女子が座っていたら、立った後にウェットティッシュで椅子を拭く」「女子に対して横柄な態度をとる」「女子の話は聞き流す」など。とにかく女子から批判されても、「お前も嫌いだろうがバーカ!」と思いながら聞き流していた。それをやっていくと、次第に自分の心は楽になっていった。しかし、今思えばここから女性恐怖症の片鱗が見えていたのだと思う。これらの行動を振り返ってみると、全て女子を遠ざけるために行っていた行動だった。つまり「女子を嫌う」と自分は思っていたが本心は「女子に関わりたくない」という思いがあったのだろう。

そして今、自分は「女性に関わりたいけど関わると思い出すトラウマ」と「女性に関われない自分への劣等感」のジレンマに襲われている。今更ながら、周りがリア充になっていることに対して劣等感を感じ始めていた。「女性恐怖症なら仕方ない」と言われることもあるが、どうしてもその言葉で納得はしたくない。だから自分はどうにかしようとしている。でも、今は女性と喋れる環境なんて全くないし、女性と出会うこともできない。ブスは一生変えられないし、ねじ曲がった性格はどうにもできない。だからこそ、そのジレンマが最近になって更に激化しているのだ。

今、自分の心はトラウマを掘り起こしている事だけでなく、そのジレンマによって過去最大に軋んでいる。いつ折れてもおかしくない状態で、ずっと軋んでいっている。しかし、そんなことで壊れるような心だったら、自分はいらないと思っている。女性恐怖症は誰しもが患い、治し方は人それぞれで、一生女性恐怖症を背負うこともある。だが、自分は一生背負いたくない。だからこそだから、今自分は苦しんで苦しんで、心が壊れかけようが、軋み続けようが、絶対にこの現状をなんとかしなければいけないと思っている。

自分が心に刻んでいる名言がある。
「壁というのはできる人にしかやってこない。
超えられる可能性がある人にしかやってこない。
だから、壁があるときはチャンスだと思っている。」(イチロー
今、自分は大きな壁にぶち当たっている。しかし、その壁は超えられる可能性があるから存在していると考えたら、絶対に超えてやろうと思えてきた。

以上、女性恐怖症になった男の過去と考察と決意表明でした。